不思議にひと触れ

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いちキスマイ担がKAT-TUNのLiveDVD『Break the Records』をみた話

前回のエントリーに書いた通り、キスマイのシングル『INTER 』収録曲『Tonight』のダークでアグレッシブな魅力にすっかり夢中になった私。その影響でジュニア時代のギラギラキスマイが見たくなり、最近KAT-TUNのライブDVD『Break the Records』を手に入れてちょいちょい観てたんですが、これがすこぶる面白くて!

若き日のキスマイはもちろんのこと、熱かったエビキス、伝説の6人編成のKAT-TUNについて、そしてグループって?アイドルって? …とまあ、とにかく色んな感想・思うところが自分の中で噴出してたまらなかったので、ちょっと収集をつける為、まとめていってみようかなーと思います。

 

まずキスマイちゃん達なんですが、いやホント出番が多い。特にこのライブはABC-Zも付いているので非常に豪華! 今だったらキスマイのライブにスノーマンとストーンズが両方付く感じなのかな、そんな贅沢あるんかいな!あったんですねそんな奇跡。当時をリアルタイムで知らない私ですら随所でもうめっちゃエビキス!って高まる。五関くんと千賀くんのキレッキレのシンメダンスとか超見応えあるし、河合くんが天女の羽衣みたいな長い布を両手に持って舞い踊るとことかホント華麗で美しい。(あれもし河合担として私が会場に入ってたら昇天するやつ)  あと、白い布を被ったマネキンの手を取りエスコートするみたくステージ上に現れてこちらを振り向く河合・藤ヶ谷・北山・戸塚の表情の色っぽい事!

そして、般若の面を付けた7人組が次々に面を取っていってキスマイ登場〜!ってなる場面とか(しかもアップで写してくださる)ワルモノ見参!って感じでまーじーで!鬼カッコいい‼︎

しまいにはえびの『Vanilla』、立て続けにキスマイの『FIRE BEAT』の全力披露もあり、十代&二十歳そこそこの今の100万倍くらいカッコつけまくりチャラつきまくり(特にキスマイ)のジュニア両雄時代の彼らが見られます。

踊ってる時やたら舌をチラつかせてたり(特に藤ヶ谷氏。口が渇いちゃうよ!)、謎すぎる構造のトンデモ髪型してたり(特に千賀氏。地獄の髪型時代(by本人)と思われる)、眉毛の細さも角度もやばかったり(特に二階堂氏。今と人相が違いすぎる)などなど、やりすぎ盛りすぎな若気のいたり的危なっかしい部分がちょいちょい見受けられますが、瞳に夢と野望を輝かせ、シャープに精力的に躍動する姿はやはり眩しく、若くイキのいい体力的にも技巧的にも充実したこのぐらいの年齢のジュニアというのはやはり非常に魅力的だなと思いました。こうやって、若き日の彼らの活躍が映像に残っているというのは大変ありがたいことです。

 

んで。肝心のKAT-TUNなんですが。

TVの特別歌番組などでジャニーズが一堂に会するJメドレーみたいなのを見ると、曲や衣装や本人達の雰囲気から、私はキスマイ以外だったらKAT-TUNが好みかなーとは思っていたんですが、今回それをホント実感しました。いやーKAT-TUNは実に私のツボを突いてくる。生バンドが入っていて(これすごく羨ましい!)ダークでハードめなロックが多いのも嬉しいし、バラードもポップなやつも曲がほとんど「ウワーこれ好き‼︎」って感じるものばかりで、何より世界観がたまらない。

前から可愛い感じや爽やかな感じよりはカッコつけまくってる感じの方がグッと来るなーとは思ってたんですが、カッコつけにも色々あって、特に私は元々マンガ好きという事もあり、中二風味なカッコつけっぷりに弱い。キスマイもかなり中二っぽいとこがあると思うんですけど、かつん先輩はもっと耽美で鋭利な印象。尋常じゃない数の炎の特効や大量の水を使った幻想的な演出、6人それぞれが異なる6つの惑星の王様っていうライブコンセプトがまるで○ーラームーンすか⁉︎って感じだし、極めつけは鎖を張り巡らして薔薇の花を絡めた鉄格子の檻みたいなセットとか出てくるんですよ!超中二じゃないすか!でもその中で妖しく微笑みながら『SADISTIC LOVE』なんつー曲を歌い上げるKAT-TUN様達の絵になる事。ホラーとゴシックは美形だから成り立つというのがすごくわかる絵面です。

そう、今回見てみて改めて実感したんですが、KAT-TUNて全員ビジュアルが強い。キャラ要員ぽいファニーフェイスな人がいない!(そういう人大好きだけど。)  みんな細いし身長もそこそこあって(全員170以上はあるっぽい)立ち姿がスッとしてるし、タイプは違うけどそれぞれ顔の造りが整っていて誰をどのタイミングでどの角度アングルから見ても常に美しい。だから時たま出るあんまお行儀のよろしくない振る舞いとか物憂げな気だるい表情すら、なんか絵になってしまう。

オープニングは高く組み上げたセットの上から登場するんですけど、その時KAT-TUN様達は柵にもたれたり肘付いたりしてまっすぐ立ってないんですよね。つーか3人は座っちゃってる! 赤西くんは柵に足かけて斜め座りしてるし亀梨くんは体ごと柵の上に乗っかっちゃってるし上田くんなんて柵に背を預けて横座りしながら片足プラーンさせて歌ってるんですよ。しかも赤西・亀梨・田中はグラサン装着で(6人中3人がグラサン!1グループ1グラサンじゃないのか⁉︎)ガラが悪い事この上ない。もうホント6人合わせて統一させようとかなく、めいめい自分の好きな格好・フリーダムな体勢で現れちゃうわけですが、スター登場でファンが熱狂の黄色い歓声を飛ばしまくるなか動じることなく余裕たっぷりにそれぞれが好きなスタンスで歌い出すその姿は、ちっさいことは意に介さず天上から気ままに民を眺める惑星の王様達といった様相を呈していて、揃ってなくても実にサマになるんですよね。逆にその自由さ、奔放さが王者感を醸し出すというか。オープニングは揃いのやる気満々キメキメポーズで登場するものという認識を持っていた私にはカルチャーショックでした。

また今回特に、メンバーのソロコーナーが時間もたっぷり取ってあって(体感的にはキスマイの倍くらい、いやそれ以上時間をかけている印象)すごく充実してるなーと思ったんですが、6人全員それぞれテイストの違うカッコいいことをやっているんですよね。キスマイの持つとんちきギャグ成分や振り幅のでかいごった煮感をこよなく愛する私ですが、お笑いとか入れなくても、カッコ良さで違いをつくってバリエーション豊かに多彩に魅せられるものなんだなというのは新たな発見でした。

そう、繰り返しになりますが、このライブDVDの中でKAT-TUN様達は全員カッコ良く美しくキャラを立たせております。私は正直亀梨くんと、個人的にけっこう好きだった田口くん以外は彼らのキャラをよく知らなかったんですが、上田くんとか口数は少ないけどちょっとした仕草や表情がいちいち可憐で可愛らしくてとても存在感があって。フワッとしたボブみたいな髪型とかソロコーナーの白いフリル衣装着てのピアノ演奏(しかも上手い!)とか似合いすぎだし弾き始める前に「静かに聴いてね」って感じで口元に両人差し指でバツ印つくって観客席をちらっと見るとことか、パーフェクトに演奏できてヤッター!って無邪気に両手伸ばして喜んでるとことかホント可愛いくて仕方がない。今の体育会TVとかでのバキバキ漢っぷりが信じられない。(今もすげーカッコいいんですけど。)

あと、中丸くんは思ってた以上にボイパが上手くて(1コーナー持たせられるくらい)、ソロコーナーのパフォーマンスと映像を組み合わせた演出がとても洒落ててサブカル男子感に溢れていて。主張は激しくないけどトークもバランス感があって、そういう器用さやセンスの良さ、安定性が今のシューイチでの活躍や番組司会抜擢に繋がっているんだなーと思ってみたり。

そして、私は彼らが6人で活動をしていた時期をほとんどちゃんと見たことが無いので、正直赤西氏や田中氏についてはあまり良い印象を持っていなかったんですけど、このDVDを見ると彼らがいかに優れた逸材だったかということを痛感しました。

赤西くんはとにかく歌が上手い。声量がすごいあるとかそういうタイプではないと思うんですけど、主メロを歌う時だけでなくフェイクの入れ方とか他メンバーが歌う主旋律への巧みなハモりとか、ニュアンスや声の色合い・雰囲気の出し方みたいな部分が抜群に上手い。全編通してみると割とフィーリングを重視するというか多少ムラっ気のある人だなという印象はあるのですが、会場やメンバーその他諸々とのグルーヴの波が合致した時の爆発力は他に類を見ないものがあると思いました。

そして田中聖さん。坊主でイカつくてガラの悪いラップする人という印象しかなかったんですが、改めてよく見るとすごく顔がかっこ良かった。今回彼はソロコーナーで片目に縦にアイラインを入れているんですが(曲目が『PIERROT』だから)、そんな中二メイクも地顔がかっこいい為ちゃんと似合ってる。そしてラップも目立つけど実は歌も上手い。特にロック曲の歌い方がとてもこなれていて迫力があり、彼が今バンドでボーカルとして活動しているというのが納得です。そして、何より観客のノセ方が上手い。KAT-TUNのライブで有名な「お前ら、声出さねえと命は無えぞ」は彼の談ですが、一見乱暴な煽りのようでいて、通して見ていると実は彼が会場全体をよく見ていて、ここぞというタイミングでシャウトしているという事が何となく分かります。観客の呼吸を捉え、メンバーとジュニア含めた出演者スタッフの覇気を高める盛り上げ隊長。かつ、その場その空気その音を全身で楽しみ味わっているという事が画面から伝わってきて、本当に人前に立ってパフォーマンスをするという事に向いている人だなーという印象を受けました。

そんな4人に加えて、長すぎる手足なのになんでそんなにダンスが上手いんだ!(おまけに歌も上手い!)田口王子様に、言わずと知れたアイドルの天才・亀梨くん(とにかく自分を魅せる為のあらゆる表現力がやばい。喋りもきちんと出来るしホント何でもできる…すごすぎ)ですよ! 

そんな最強の6人が歌う前半のクライマックス『Real Face』がもうホント最高で! 本来の歌割をメンバーそれぞれ交換して歌っていくんですけど(これすごく楽しかったからいつかキスマイでもやってほしい!)、JOKERラップを途中から舌もつれさせてカミカミになって田中氏と笑い合う亀梨くん、赤西ソロを本人にマイクを向けられてじいっと見つめられながら夢中で歌う中丸くん、亀梨パートをパーフェクトに歌いきる田口くん、そんなメンバーを横目に涼しい顔で自分のパートを歌い出す上田くん…とその6者6様にその場を楽しむ姿がホント最高で。もうそれを見ていると、こんな、ずっと彼らを見てきたファンでもない自分が今さら言うのはホントおこがましい事この上ないんですが、「何で…なんで6人でいられなかったの? こんなに才能豊かでカッコよくて美しくて最高な6人だったのにどうして?」という気持ちが溢れてきて仕方がありませんでした。

ただ、ライブ全編を通して見ていくと、特に赤西くんなどはちょっとアイドルとして振る舞うことが窮屈そうに見えるな…と思う部分もあり…他のメンバーに関してもアイドルというには良くも悪くも収まりきらないような気勢、抑えきれない主張の断片のようなものを感じたりもして。ものすごく個人的な勝手な意見なのですが、なんとなくグループが袂を分かつ事になったのはそういうところが起因している部分もあるのかなと思ったわけですが…

しかし、(そういった要因かは分かりませんが)やり場のないいら立ちをぶつけるかのようにハードロック調の曲を歌う彼らの声は力強くかつ哀切な響きを帯びているようで、聴けば聴く程もっと、もっと歌って!と知らず知らずの内に感情が高まっていったし、見ているこちら側の心をかき乱し振り回すかのような無軌道で奔放な立ち居振る舞いは派手に目を惹きつつもどこか儚げで、光がまたたきスパークする瞬間を見ているような心地がしました。鬱屈を溜めたような物憂げで気だるい表情すら魅力に変えてしまう、そんな強烈な求心力を持ち、自分達でも容易に制御出来ず持て余してしまうほどの個性・志向を持った人材を、抱え擁し続ける事が出来なかったアイドルという構造に、ここが限界点なのか…?と勝手にも思ったりしました。

ただ、ファンになってから3年足らずという短い期間ではありますが、私が今までキスマイを見てきた中で、アイドルというジャンルの中でいかに遊べるか、そして内部からその枠組をどれだけ押し広げていけるかという部分が面白いなとも思っていまして。

今回のライブDVDを見る限り、多少窮屈そうな部分は垣間見えつつも、脱退した3人も含め、KAT-TUNは全員が大勢の観客の前で歌いパフォーマンスすることを心から愛し楽しんでいるように見えました。そして、この時の興行は『Break the Records』というツアータイトルが示す通り、東京ドーム連続8日間公演という信じられないような、まさに記録を打ち立てるようなものだったといいます。

絶大な人気を誇り、生ける伝説のようだったグループ。もし、もし、あんな事もこんな事も乗り越えて、KAT-TUNが6人のまま続いていたとしたら。自己プロデュース能力に長け、デビューから10年以上が経ち皆30代となった今でも(脱退した3人も含め)全員美しさを保ったままの、華と才能を持ち合わせた奇跡のような6人が、この編成のまま続いていたとしたら。きっとSMAPのようでも嵐のようでもない、まだ誰も見た事がない、もっと別のアイドルとしての境地、到達点が見られたのではないかと思わずにいられません。

 

1人去り2人去り、そして3人となったKAT-TUN。今は充電期間としてグループとしての活動を行っていませんが、個々人の目覚ましい活躍ぶり、多岐のジャンルに渡る素晴らしいお仕事の数々は周知の通りです。3人が再び集結する時は、彼らの持ち歌にもあるフェニックスの名の通り、地の底から炎を身にまとい甦る不死鳥のように、必ずまた以前にも増して強く誇り高く美しいトライアングルを見せてくれることでしょう。それはきっとそう遠くはなく、もう間近に迫っている気がします。

 

そして最後に。今回このライブDVDを見て、たとえどんなに年月が経っても、そのとき放たれていた魅力の輝きは決して色褪せず作品の中に残っていくものなんだと感じました。そして、世間の声がどうであれ、自分の目で見てみないと感じることの出来ない価値がある。世評も大事ではありますが、他の誰がどう言っていてもいいなと思うものには心惹かれるし、好きなものは好き。やはり私はこれからも自分の興味の赴くまま、見たいものをこの目で見て味わっていきたいなと思いました。

教えてくれてありがとう、KAT-TUN。そしてすべてのアイドルの皆さん、時を超えても人の心を動かすことができるあなた達の職業は、本当にすごいです。